「ロッキーⅣ ロッキー VS ドラゴ」宿敵ドラゴの隠れた名演技
ロッキーを観たことなくても、ロッキーのテーマ曲を聞いたことがある人は多いのではないでしょうか?
今回ご紹介するこちらの映画。1985年に作られた映画です。当時わたしは小学生。ビックリマンチョコが流行り、ファミコンでマリオに熱中していた時代です。
それが35年以上の時を経て、監督・脚本・主演を務めたシルべスター・スタローンが徹底的にカットを見直し本作を作り直しました。
スタローンはこう言います。
「オリジナルを作った頃の俺は、今よりかなり薄っぺらだったんだ。今回、新たに『ロッキーVSドラゴ』として生まれ変わった。」
歳を重ねスタローンも変化し、見せたい部分や伝えたいテーマが変化したのでしょう。
画質や音質は比較的に向上していますが、本作は撮り直しではありません。膨大な時間と労力を費やし、お蔵入りのカットも含め編集し直されたのです。
そんなロッキーⅣの魅力を3つに絞ってお伝えします。
Contents
見どころ
良い意味で古臭く汗臭さ全開の映画です。
ロッキーの男同士の友情、男の戦い、超アナログトレーニングなどなど。
それを対比するようにライバル役のドラゴは感情を表に出さず、最新鋭のトレーニングで強靭な体を作り上げます。対するロッキーは友の死を嘆き悲しみ、敵地ソビエトに乗り込み、薪を割ったり木を切り倒しながら体を鍛え上げます。
作中は徹底して男の世界が描かれています。
今は男女の格差が減り、戦う強い女性を描く映画やドラマが数多く作られています。そして泥臭い友情もあまり描かれなくなりました。
現実世界もあまり物事に熱くならず、勝てない戦いは堅実に回避するのではないでしょうか?
勝てないと分かっていながら友のために戦う。
男であり続けるために逃げない。
自分の信じた道はたとえ反対されても突き進む。
そんな昭和のおじさんなら、誰もが映画や漫画で影響を受けた、あの価値観がぎっしり詰まった映画です。
空前のヒットを記録した「トップガン・マーヴェリック」。こちらもそんな泥臭く熱い戦いを描いていました。
現代はいろんな物事がスマートに進む社会です。その反動なのか、熱く泥臭くスマートとはかけ離れた物語が求められているのかもしれません。
宿敵ドラゴ
副題にもあるように、ソビエト連邦(ロシア)のアマチュアボクサーのドラゴとロッキーの戦いを主軸に物語は進んでいきます。
このドラゴがかなり良い味を出してくれています。
実はオリジナルの副題は「炎の友情」でした。旧作ではロッキーと盟友アポロの友情が物語の軸だったのです。今回はよりドラマの中身に重点を置きたかったと語るスタローン。その言葉通り、東側の冷徹な戦闘兵器が、徐々に人間らしさを見出していくところは本作の見どころのひとつです。
特に印象に残っているシーンが、ドラゴがラスベガスでリングに立つシーンです。ショーアップされたラスベガスらしい演出で、ドラゴはアメリカ式の洗礼を受けます。祖国ソビエトでは見たことのないような華々しい演出、自由を象徴するかのような開放的空間に、それまで一貫して仮面のようだったドラゴの表情に変化が見られます。まるでサーカスに連れてこられたライオンかのような困惑や驚きの表情を見せます。このシーンは、後の伏線となります。
インタビューでも多くを語らず、その様はロボットの様なドラゴ。そんな彼はロッキーとの戦いの中で徐々に感情をあらわにし始めます。まるで精密なコンピューターが狂い出すかのように。
そこの演技に魅入ってしまいました。
実はドラゴを演じるドルフ・ラングレンは本作がほぼ映画デビュー作になります。元々はスウェーデン出身の空手家で、軍隊経験もある方です。冷徹な戦闘兵器ドラゴの役が演技に不慣れだった事とマッチしたのか?それとも演技の才能があったか?は定かではありません。しかし無表情のようでいて、しっかり眼で演じ切るラングレン。好演技だったことは間違いありません。ちなみに現在も俳優としてしっかり活躍されています。
映画を引き立てる名曲
ロッキー4のサントラは売れに売れました。著名アーティストの曲が挿入歌に使われて、時折ミュージックビデオの様な演出があります。そこを酷評され、その年のつまらなかった映画としてノミネートされた過去があります。
しかし名曲揃いな事は紛れもない事実。メインテーマだけでなく、他の曲も一度は聞いたことがあるものばかりだと思います。どれも闘志が湧き上がるような名曲揃いで、テンションあげたい時にピッタリです。
わたしが以前勤務していたスポーツジムでもかかっていました。
そんな魂揺さぶるような名曲が、絶妙なカットインと共にこの映画をより魅力的な作品に仕上げてくれています。
個人的に名作には名曲ありと思っています。ストーリーは忘れてしまっても、テーマと共に記憶が蘇る作品があります。
スターウォーズ、ジュラシックパーク、ミッションインポッシブル。これら名作も名曲と共に語り継がれた映画のように思えます。
そんなロッキーの勇姿を彷彿とさせるテーマ曲。通勤中やここぞという日にどうぞ!