「高齢者疑似体験」に行ってきました
Contents
「知っている」と「体験する」は大違い
この講習会は市の福祉関連部署か主催しているものです。特に「高齢者体験」が気になって受講しました。
内容は、前半は座学で高齢者が日常で不便に感じていることを学び、後半は実際に様々な器具を使って高齢者の日常が私たちとどう違うかを体験できるものでした。
主に五感の低下が体験できます。例えば視力、聴力、触覚の低下がどれほど日常に不便を感じるかを学べる構成になっていました。
「お年寄りは日常の動作が大変」
頭ではわかっていましたが「ここまで不便なのか」とお驚いた1日でした。その詳細をご紹介します。
疑似体験で不便さを痛感
座学と体験それぞれをご説明します。
座学内容
高齢者の定義から始まり、高齢者の体に起きる変化について学びました。
特に目、耳、手、脚は影響が大きく、私たちが見聞きしている世界とは異なることがわかりました。
また、目や耳から得ている情報は全体の90%とも言われているそうです。情報を拾うことが難しくなることは様々な困難を生み出します。
(具体例)
高音域が聞こえにくくなるので電子アラームがわからない(体温計、電話、チャイム、アラームなど)
色の識別が難しくなる
視野角が狭くなり気配を察することができなくなる
カーベットやコードなどの段差で転倒してしまう
印象的だった話に「緊急時のアナウンス」がありました。高齢者はアナウンスや電光掲示板からの情報は得にくいのだそうです。電車の急な乗り換えは非常に困ると言われていました。
体験内容
後半は高齢者疑似体験です。本来は関節に負荷がかかる装置をつけて、動きにくさも体験できるとのことでした。しかしコロナ禍ということもあり、器具の使い回しを避けるため、視覚、聴覚、指先の感覚を制限した体験となりました。
しかし、それでも想像以上の不便さを体験することができました。以下は白内障が進んだ人の見え方です。
会場で頂いたフィルターを通して撮った写真です。左側は私たちが見えている世界。右側は白内障が進んだ方が見えている世界です。
今回はスターバックスさんの風景写真ですが、講習会の映像は「海鮮丼」でした。もう何の魚か分かりません。しかもワサビがどこかも分かりません。
それ以外にも、いかに暗い階段が歩きにくいかを知りました。段差がほとんど視認できないのです。また、高いところにある信号や非常口のマークも見つけることができませんでした。
そして、その疑似体験の状態で「宅急便の送り状を書く」というアクティビティがありました。もう薄字、枠などほとんど見えません。電話番号を書くすスペースなど良く見ないとわからないレベルでした。
実はこれは心理的にも大きな悪影響をもたらします。わずか数十分の体験でしたが、私は全ての行為が「めんどくさい」と感じるようになってきたのです。
わからない→やりたくない
に変わっていったのです。
実はこれが認知症に大きな影響を与えます。無気力から何もしなくなり、身体機能に多くな悪影響を与えてしまうのです。
私の両親の例です。母は左半身に麻痺が発生しました。それから無気力状態になってしまいました。当時は「なぜリハビリを頑張らないのか!」と叱りつけたこともありました。
しかし、思うように身体が動かせない苦しさは、当事者にしかわからないものがあったと反省しています。
「わからない」「思うように動かせない」
これは想像以上に苦しい世界でした。
まとめ、自分の考え コロナ禍で手伝いにくい世の中に
コロナ禍になり福祉関係者はこう言われます。
「支援しにくい世の中になった」
介護においても物理的な距離が制限され、接触を控えるようになりました。特にマスクで口元が隠れることで、言葉を理解しにくく感じる高齢者が増えたそうです。
それでもちょっとしたお節介が大切だと仰ってました。
高齢者の「?」な言動。それにはしっかりとした理由がありました。それが理解できたことで介護状態の両親への接し方がまた変わってきそうです。