実家が『空き家』になってしまった人たちへ

介護の過程で、実家が空き家になるケースもあるかと思います。例えば「両親ともに施設に入ってしまった」「退院後に自宅での介護が困難である」。
空き家所持にはいくつかのリスクがあります。
今回はそんな『リスク』と『処分にはどのような方法があるか』をお伝えしたいと思います。
Contents
空き家所持のリスク
①コスト
実は所持しているだけで、なかなかの費用がかかります。わたしの実家のケースだと、内訳は主に「固定資産税」「水道光熱費の基本料金」「地震・火災保険」「NHKの受信料」「固定電話」です。合計すると年間で35万円ほどかかっています。10年放置したとしたら350万円。空き家にこのお金が垂れ流されていくのです。
②老朽
誰も住んでいない家は草も生え放題。急速に老朽化が進みます。景観を損なうだけでなく、資産価値は減少。老朽化が進み過ぎると、行政から「要注意物件」としてマークされる可能性もあります。適正管理条例というものがあり、所有者に維持管理を勧告される恐れがあります。
③犯罪・災害被害の温床

空き家は犯罪者の住処にされたり、ゴミの不法投棄をされやすくなってしまいます。また放火の格好の標的にもなります。台風や地震の際は近隣に被害を出し、保険でカバーできないような損害賠償のリスクも出てきます。
処分にはどのような方法があるか
大きく分けると「売却」「賃貸」「現状維持」の3つです。「寄付」という手も無くはないのですが、駅前のような大きく商業的に利用できる立地でない限り、行政は引き取ってくれないと考えて良いです。
①売却
介護費用が不足している場合は、こちらの手段になるかと思います。実家の場合は、土地や建物の名義が両親いずれかになっていると思うので、本人の意思確認が必要になってきます。売り方にも「中古物件として売る」「更地にして売る」「売却費用から取り壊し・ゴミの撤去など諸費用を引いてもらって売る」など様々な方法があります。
②賃貸
名義を残しておきたいという場合は、こちらの手段もあります。名義を残し物件は所持したままにできるのですが、デメリットとしては「どんな人が借りるか」を予測できないところです。最悪の場合、新たなトラブルの種となる可能性があります。
③現状維持
こちらを選択せざるを得ない場合もあるかと思います。例えば「名義人が処分したがらない」「兄弟など他の相続人が処分に反対している」「実家が借金の抵当に入っていて自由に売却できない」などです。それでも電気水道などの休止や解約をし、できるだけコストを抑えることをおすすめします。
参考例「わたしの実家」
わたしの場合は、両親共に施設暮らしが確定していました。しかし2人の施設費用は、本人たちの年金内では賄えません。その上、母に高額の借金があるといった状況です。幸い実家はまだ抵当に入っていなかったので「売却」で進めています。
しかし様々なハードルがありました。まず両親が「いつかは家に戻れる」と信じていて売却を承認しません。次に建物・土地の名義を細かく分けていて、両親揃って売却に同意しないと何もできないのです。
父に関しては、成年後見人制度を申し立てたので、本人の許可なく売却ができるようになりました。母に関しては、時間をかけて売却の必要性を説明し、同意する「委任状」を作成してもらう予定です。
初めは生家を自分の意思で売却して良いのか悩みました。両親が一生懸命ローンを払い、思い入れのある家です。しかし、本人たちはもう適切な判断はできません。相続人のわたしが全体の最適を考えて「こうしたい!」と明確に意思を持たないと、物事が進まないと気付きました。
今は後見人の司法書士さんにお願いして、対応してくれる不動産を探してもらっています。そして「地震・火災保険」以外の全てを解約しました。