実家売却レポート③

前回の記事では実家がなかなか売れないとお話ししました。
なぜ実家を売ろうとしているかというと、両親にかかる介護費用や医療費が不足しているからです。
わたしは介護費用に関してはこう考えています。「原則、本人の収入の中で完結させる」。理由は今自分が無理をして扶養してしまうと、そのツケを将来自分の家族に払わせてしまう可能性があるからです。自分の老後資金の蓄えをしっかりしつつ、今の生活費を確保して、余剰があるならば扶養を検討する。それくらいで丁度良いと思っています。
本題に戻ると、実家は敷地まで車が入れるほどの道がありません。これは車社会である地方では致命的です。いわば陸の孤島状態で不動産価値がつきにくくなってしまいます。そこがネックとなり今まで5〜6社の不動産に断られてきた経緯があります。街の不動産だけでなく、財産整理を専門にしている不動産にもお願いしてみましたが結果は同じでした。
しかし、ここで「買いたい」という方が現れたのです。
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ついに買い手が現れる
その方は、同じ県内に住む普通の会社員です。財産整理専門の不動産に紹介して頂きました。
一体どんな理由でこんな田舎の古屋、しかも車も入れられず不動産すら手に負えない我が実家に興味を持ったのかが気になりました。そこには驚きの活用法があったのです。
それは「買い手のつかない空き家を安く買い、なかなか家を借りられない生活保護受給者に安く貸す」というものでした。
初めて聞いたときは「えぇ⁈」というのが本音。正直、素人が生活保護受給者に家を貸すという話に不安しか感じませんでした。しかも貸すにあたり自身がDIYをしてリフォームすると言うのです。もう胡散臭さしか感じませんんでした。
しかし、よくよく話を聞いていくと素敵なビジョンを持って取り組まれているようでした。それは主に、2つの問題を解決できる画期的なアイデアだったのです。
①空き家問題を解決できる
空き家は全国でも増え続ける深刻な問題です。その数は年々増加し続け820万戸(2013年時点)もあると言われています。空き家は倒壊の恐れや犯罪の誘発、ゴミの不法投棄など多くのリスクを抱えています。わたしの実家は倒壊するレベルではありませんが、不動産的価値の無い家は本当に売れません。時間だけがが過ぎ去り老朽化していくことになります。そんな空き家をうまく活用することができるのです。

②生活保護受給者に住まいを提供できる
生活保護受給者は簡単に住居を借りることができません。私たちが想像している以上にハードルが高いのです。まず支給される住宅費に制限があります。自治体によって異なりますが、東京都で言えば5万円程度です。東京都で家族で5万円の物件となると、なかなか見つかるものではありません。大学生が一人暮らしをしているワンルームでさえ7万円程度します。さらに不動産が内覧や契約を断ってきます。家主も生活保護受給者と知ると貸したがりません。理由は家賃滞納や孤独死といったトラブルに関わりたくないからです。しかも保証人もつけられません。また生活保護受給者も狭く古い賃貸ではなく、一軒家に住みたいという気持ちがあります。そこに対して安く空き家を提供できるのです。
どう判断するか
ここまで聞くと良い話のように聞こえますが、デメリットもいくつか存在します。
①売却費用が安い
建物の中の家財などは捨てずに現状のままで良いとの事でした。通常は売却するときは中身を空にしてからという話が多いです。金額は「30万円」で提示されました。実家は固定資産税評価額では400〜500万円です。(実際その価格で売れるわけではないのですが)そこを考えると余りに安すぎる価格です。
②プロの不動産が買い取るわけではない
買い手は不動産に精通しているわけではありません。そんな方が賃貸を管理していくわけです。何かのトラブル発生時に、迅速かつ的確に対応できるかというと疑問があります。最近は地震や大雨などの自然災害が増えてきています。そんな中、知識や経験の乏しい人が不動産を管理することに不安を感じます。
③借りてがどんな人が未知数
生活保護受給者といっても様々です。コロナ禍による失業や健康上の理由から仕事に就けないなど、本人ではコントロールできない厳しい理由で追い込まれた人達もいます。一方、わたしの両親のようにアルコール依存や買い物依存に陥っている人や、反社会勢力に所属していた人といったトラブルに発展しやすい事例があることも事実です。借り手のよってはその後の住民トラブルに発展してしまう恐れもあります。
簡単に決断できることではないので、父の後見人の先生(司法書士)とも相談しています。実家は大切な資産で貴重な軍資金です。売ってしまったがお金は足りない。しかも住民トラブルにはしっかり巻き込まれてしまった。こんな事は絶対に避けなくてはなりません。
今後の医療費や介護費は間違いなく上がっていくと思います。実際にロシアのウクライナ侵攻で高騰した石油が洗濯代に影響を及ぼしました。高齢者が病院に行くときの保険証自己負担割合も1割から2割に増加すると公表されています。これからの両親の収支を計算しながら慎重に判断していきます。

実家が空き家になって医療費などが足りない方は、家財を現金化することもオススメです。わたしは家に眠っていた大量の食器や、認知症の父が買い込んできてしまった大量の家電製品を現金化しました。
