講談で学ぶ「成年後見制度」に行ってきました
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「講談」で学ぶ、成年後見人制度がおもしろい
「講談」というものをはじめて聴きました。
これが非常におもしろい!落語にハマる人がいるのも頷けます。
そして、「講談」という聞きやすく楽しい形で、成年後見制度の知識が身につくのが非常に良かったです。
「成年後見人制度」は公的資料を見てもチンプンカンプン。難しい専門用語が並んでいます。
そんな成年後見人制度。実際に知りたいポイントは、
「どんな制度か?」
「どんな人が使えるのか?」
「メリット・デメリットは?」
「費用は?」
「手続きは?」
この辺りではないでしょうか?
今回は、その内容と感想をお伝えしていこうと思います。
関連する動画もご紹介してますので、是非ご覧になってください。
講談とは
その前に「講談」について軽く説明しておきます。
乱暴に説明すると、
センスをパンパンと鳴らしながら、リズム良く話す落語みたいなもの
好きな方が聞いたら怒られそうな説明ですが、実際はこんな感じです。(厳密にいうと講談と落語は違います)
実際の講演内容
3つのお話で構成されており、段階的に制度を学ぶことができます。
これらは実話をもとに作られているそうです。
演目
第1話「認知症の老姉妹を食い物に」
とある認知症をわずらった老姉妹が、シロアリ駆除業者に騙されるというお話です。
この詐欺業者は優しい言葉で老姉妹に近づいていきます。そしてまるで実の息子のように接していきます。全ては、信頼を得て骨の髄までしゃぶり尽くすためでした。
しだいに身寄りがいない老姉妹は、この詐欺業者が家に来てくれるのを心待ちにするようになっていました。
そして、必要のない工事やリフォームを次々と契約させられてしまいます。
ここで恐ろしい存在が発覚します。それは「カモリスト」。
カモにされやすい人は詐欺業者間で共有されるのだそうです。そして様々な悪徳業者に食い尽くされ、4000万円あった貯金は全て騙し取られてしまいます。
しかし、これで終わりではありません。
シロアリ駆除業者は、老姉妹に家と土地を担保にサラ金に借金をさせます。もう印鑑を閉まっている場所も把握していたのです。お金をむしり取るだけでは飽き足らず、借金まで背負わせようとしていました。
そしてついに、老姉妹は借金返済ができなくなり、愛着のある家を追い出される羽目となってしまいます。
そこで異変に気づいた近所の人が通報。成年後見人制度の申し立てが始まります。
第2話「身上監護でその人らしく 最後まで あなたに寄り添う成年後見人」
第1話から続くお話です。
老姉妹は身寄りがいないため、市長さんが成年後見人制度の申立人となりました。2人には後見人がつくこととなります。
そして家庭裁判所は「弁護士」を後見人に選定します。老姉妹には詐欺被害と借金の問題があったからです。
そして裁判。見事に失った財産は取り戻せました。
しかし、信じていたシロアリ駆除業者に騙されたという「心にポッカリと開いた穴」は塞がりません。
そしてお姉さんは失意の中、亡くなってしまうのでした。
そうすると、妹さんの認知症はさらに進んでしまいます。
このお話では、認知症の度合いによって変わる「成年後見人制度の種類」が説明されました。
また、選任された後見人がどのように寄り添ってくれるかを学ぶことができます。
妹さんは申し立てた当時は軽度の認知症だったため「補助」でした。
しかし、お姉さんの死を機に認知症が進行してしまいます、そこで「補助」から段階を引き上げる手続きを行いました。
そして、妹さんは「お姉さんが好きだったガーデニングを引き継ぎたい」と思っていました。それをできる限り実現できるよう、後見人が環境を整えてくれるというお話です。
第3話「経済的虐待を防ぐために」
最後の講談は「身内から預金を騙し取られる」というお話です。
このお話の登場人物は、
夫に先立たれ、一人暮らしをしているお婆さん。
実家の近くに住む無職の長男
仕事でアメリカに住んでいる次男
お話はある日、次男のもとにお婆さんから電話がかかてくるところから始まります。
「お金がなくなった!」
次男は驚き急いで帰国します。通帳を確認すると2,000万円あった預金が、数ヶ月で半分ほどに減っていたのです。
実は長男が借金返済のために引き出していました。
次男はお兄さんを呼び出し問い詰めます。しかしお兄さんは「お前に何がわかる!」と開き直ります。「介護をしているのは自分だから当然の報酬」といった具合です。
自分はそばに居てあげれない。しかし、このままではお婆さんの預金は長男に使い込まれてしまいます。
困った次男は行政に相談に行きます。そこで「任意後見人制度」の存在を知ります。
お婆さんは今はしっかりと判断ができています。
そのため2話の「法定後見人制度」は適用されません。
そこで、判断力があるうちから備えができる「任意後見人制度」を活用したのでした。
これによって、長男はうかつに預金に手出しすることができなくなりました。
感想
このように難しい「社会福祉制度」や「介護の実態」を、エンターテイメントとして伝えている方々がいらっしゃいます。
介護は制度を知っているのと、そうでないのでは負担に雲泥の差が出ます。
楽しく知識を身につけて、適切な介護をしていくことは非常に大切だと思います。
成年後見人制度の悪いうわさ
実はこの成年後見人制度。調べてみるとネガティブな情報も出てきます。
長くなるので、ここは別記事で検証していこうと思います。
わたしは父に「法定後見人制度の後見」をつけているのですが、デメリットよりメリットの方を多く感じています。
しかし、後見人も人間。相性があるのは確かです。
そして、その熱意や誠実さは人によってムラがあることも事実でしょう。
わたしがどのように後見人を立て、現在どのようにお付き合いしているかは近日中にアップいたします。
福祉センターをうまく活用
この講演会を知ったのは「認知症のつどい」が開催されている市の施設でした。
わたしの地域では「健康福祉センター」「市民福祉プラザ」と自治体によって名称は様々ですが、同じような機能を持った施設は全国にあります。
そこでは、このような講演会を始め、介護講習会など有益な情報を無料で手に入れることができます。
また、福祉関係者や介護をする家族とネットワークが作れることろも大きな利点です。
介護で1番避けたいのは「孤立化」です。
1人で考え込むことで極端に走ってしまったり、心が折れてしまったりします。
わたしは介護が落ち着いてからその存在を知ったので、渦中に利用することはできませんでした。
もし、介護の最中で「苦しいな」と感じている方は是非とも訪ねてみてください。
こちらも詳細は別記事でご紹介したいと思います。
福祉センターのイベント・セミナー例
東京都社会福祉協議会
https://www.tcsw.tvac.or.jp/php/contents/eventlist.php
大阪社会福祉協議会
http://www.oacsw.or.jp/citizen/seminaer/
札幌市社会福祉総合センター
https://www.sapporo-shakyo.or.jp/
福岡県市民福祉プラザ
http://www.fukufukuplaza.jp/
全国のイベントが検索できる「こくちーずプロ」
https://www.kokuchpro.com/s/area-%E5%8C%97%E6%B5%B7%E9%81%93/g-20/
まとめ
暗く重く難しい話こそ、「明るくポジティブに」話すことが大切に思えます。
まさに「講談」はうってつけのリソース。
しかも、状況の描写がリアルなので、紙に書かれた説明文を読むよりイメージが湧きやすく感じました。
今回講談をされた「神田 織音(おりね)」さんは全国で活動されています。
地域の福祉センターや市報のホームページを確認しておくと、みなさんの地元でも開催されるかもしれませんよ。
関連する記事
リンク集
神田さんHP
https://kanda-orine.amebaownd.com/pages/3317853/biography
講談で語る「成年後見人制度」
「福祉、介護、福祉、医療系専門職のためのソーシャルコミュニティ」Wel ウェル
https://www.wel.ne.jp/doc/feature/koudan/
成年後見はやわかり 厚生労働省
「法定後見人制度」
https://guardianship.mhlw.go.jp/personal/type/optional_guardianship/
「任意後見人制度」
https://guardianship.mhlw.go.jp/personal/type/optional_guardianship/
ゆるっと介護動画