「記憶障害」に悩む方へ
わたしは記憶障害に悩まされた時期があります。
原因は不明ですが、地元に帰り実家と深く関わりだした頃に発症しました。また、両親ともにアルツハイマー病の家系です。
両親のせいにしたくはありませんが、アルツハイマー病は遺伝性があると言われているので、少なからず関係はあるのかもしれません。
「記憶障害」といっても、全てのことがわからなくなるわけではありません。しかし、そこが厄介でもありました。
なぜなら側から見れば普通の人です。しかし「異常にもの忘れ」をしてしまう。これが人と関わりる上で、多くの問題を引き起こしました。
今回はその詳細や、今どのように生活しているかをご紹介したいと思います。
そして今、同じように悩んでいる方に、少しでも安心できる情報をご提供できればと思います。
Contents
記憶障害とは
①どんな症状?
「文字通り」といえばそれまでですが、記憶の種類によってその症状もさまざまです。
例えば、短期記憶障害、長期記憶障害、エピソード記憶の障害、意味記憶障害、手続き記憶障害などがあります。
わたしの場合は「また言ったことを忘れている」と指摘され、意識するようになりました。
もともと「人の話をあまり聴いていない」タイプではあります。そのため性格的なことが災いしている程度に思っていました。
しかし、「明らかに変だ」と思うことが徐々に増えていきました。
数時間前に挨拶した人の名前と顔を思い出せない
いつも行くスーパーの商品配置がわからなくなってしまう
漫画や小説を読んでも、登場人物や内容が記憶できず理解できない
商業施設に入ると迷子になってしまう
このような状態になってしまいました。
また、今までできていたことも徐々にできなくなっていきました。
例えば料理や買い物など。パスタを茹でるという作業も忘れてしまい、YouTubeで調べて作っては失敗していました。途中でパスタを茹でていること自体を忘れてしまうのです。
②何に困ったか
1番困ったことは「原因がわからないこと」でした。
大学病院の脳神経外科や、総合病院の「もの忘れ外来」にも行きました。
しかし、答えはいつも「特に異常なし」。
「異常がない」のに「異常なことをしでかす」
これに最も頭を悩ませました。
そして、病名が診断されない以上は普通の健康な人として扱われます。そんな人がいつも忘れ物をする。仕事でミスを連発するのです。
結果、「いい加減な人」「仕事ができない人」として判断されていきます。
もちろん、忘れないようにメモを取ったりしていました。
しかし、メモ帳ではページ数が足りません。ノートに書くようになっていきました。あまりにも忘れるので1週間で1冊くらい消費していました。
しかし、周囲からは冷たい視線が飛んできます。「それくらいはメモらず覚えて」と言われることもありました。
この状態で両親や親戚から、「借金」「相続」について呼び出されるのはとても酷でした。まともに判断できる自信もなく、ただ言われるがまま。症状に対して理解もされないため「情けない」「恥ずかしい」と言われていたように思います。(当時の記憶はほとんど残っていません)
③どのように対処したか
段階を踏んで対処していきました。
対処したというより、「ただ時間が過ぎ去っていき、結果落ち着いたと」いった方が正しいかもしれません。
振り返ると①回復期、②安定期に分けられると思います。
①回復期
外出も危険な状態だったので安静にしておく
できる家事を無理ない範囲でやる(何かしらの活動をする)
物事全てに興味を失ってしまわないように、興味が湧いたことはやってみる
当時のわたしがなんとかやれていたことは、ゴミ出しくらいです。大好きな映画も全く観れなくなってしまいました。
②安定期
初期は不安定なので無理はしない
活動できる世界を少しずつ増やしていく
忘れてもいいような仕組みを作る
全てを説明すると長くなってしまうので、「忘れてもいい仕組み」についてお話しします。
結局は「メモ」なのですが、どのようなメモが自分に合うのかをかなり試しました。
ポイントは「忘れないためのメモ」ではなく「忘れてもいいためのメモ」を見つけられたことです。
④忘れてもいい仕組み
「忘れてはいけない」と考えると苦しくなります。頑張っても、気をつけていても忘れてしまうからです。
そこで考え方を変えました。「忘れたことを、いつでも確認できるツールを探す」ことにしました。
結論からいうと「iphone内蔵のメモアプリ」。
これに落ち着きました。
手書きのメモから始まり、著名人オススメのメモアプリ、タスク管理アプリ、カレンダーアプリ、ボイスレコーダーアプリなど、かなりの量を試しました。
1周回って「iphone内蔵のメモアプリ」にした理由は
①オフラインでも書ける、読める
②Siriによる音声入力メモが便利
③メモの内容は他のアップル製品でも確認できる
特に①が重要で、忘れても良いメモは「いつでも書けて、いつでも読める」でなければ意味がありません。そこを満たしてくれるものは実はあまりありませんでした。
手書きのメモは持っていないと書けなかったり、時間が経つにつれて冊数が増えてしまいます。「何冊か前のメモには書いていたけど、今は持ってきていない」では困ります。また、とても便利だけど「オンライン状態でなければ使えない」というアプリは、だんだんと使わなくなっていきました。
②も非常に便利です。自転車に乗っていながら思いついたことは、「ヘイ!Siri!」ですぐさまメモ。通話機能付きイヤホンがあれば運転しながらメモが取れます。また、人からお願いされたことも素早くメモすることができます。特にスマホの文字入力が遅いわたしは重宝している機能です。
わたしはスマホは常に所持していることが多いです。そのためちょっとした隙間時間に今日の予定を確認することができます。(たまにスマホを忘れて出かけることもあります)
もはやこのメモアプリは、わたしの海馬(脳の短期記憶を司る部分)の代わりとなってくれています。これがあることで、「忘れてもいい」という安心感に繋がっています。
この「iphone内蔵メモアプリ」は別記事で紹介していきます。
⑤支援団体の紹介
全国には若年性認知症やアルツハイマーをはじめ、記憶障害の人を支援する団体があります。
人から理解されない症状は、孤独で辛いものがあります。
同じような経験をしている方と、悩みや体験を共有することで孤立化を防ぎ、生きる活力をもらうことができます。
経験談ですが行政関連の窓口は結構シビアなこと言われます。全てがそうではありませんが、癒されにいく場所ではないと感じています。
「もっと頑張りましょう」
「他にもっと辛い人がいるから」
などと言われても、渦中の人にとっては傷口に塩以外のなにものでもありません。
勇気をもらいたい。励まされたい。優しくされたい。そんなときは支援団体を訪ねてみることをオススメします。(当時のわたしは団体の存在を知りませんでした)
若年性認知症サポートセンター
http://jn-support.com/
「若年性認知症の集い」 認知症の人と家族の会
https://www.alzheimer.or.jp/?cat=365
まとめ
今はメンタルヘルス市場は5兆円規模とも言われています。さらにコロナ禍で増加傾向にあります。
それほど精神的な問題は身近なものになり、誰もがかかる可能性を秘めています。
今は病気の理解も進み、モバイルアプリなどで治療を受けられるDTx(デジタルセラピューテックス)が注目されてきています。
脳や精神的な病気で、人生が終わってしまうことはありませんので安心してください。
今までの暮らしに、何かしらの変化を加えないといけないことはあると思います。しかし、そうなったとしまっても、幸せに生きる道はたくさん残されています。
関連する記事
リンク集
若年性認知症サポートセンター
http://jn-support.com/
「世界メンタルヘルスデー2022」厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/mental_health_day/
「若年性認知症4つの対策 初期症状や原因、対処法徹底解説」NHK健康チャンネル
https://www.nhk.or.jp/kenko/atc_399.html
「記憶障害とは』 認知症サポート笑顔倶楽部
https://www.sompo-egaoclub.com/articles/topic/