認知症を正しく理解しよう②「男性介護者と支援者のつどい」に参加してきました

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男性介護者と支援者の全国ネットワークとは

こちらの団体をご存じでしょうか?

介護する側もされる側も、誰もが安心して暮らせる社会を目指している」団体です。

「男性介護ネットとは」 男性介護者と支援者の全国ネットワークより
https://dansei-kaigo.jp/aboutus/

たまたま県庁に行く機会があり存在を知りました。地元でも交流会があり、参加してきたので内容を共有します。

結論から言うと参加して良かったです。

いろんな人の介護体験が聞けることで、今後の介護における判断材料に繋げやすいと感じました。

また現在の介護環境を知ることができたことも有意義でした。

そんな介護経験豊富な先輩方の体験談を共有していきます。

余談ですが、参加者の平均年齢は60代〜70代。わたしは最年少で学生と間違われました(笑)

「現在の介護環境」については別記事でアップします。

現在の介護が抱える問題

先日「男性介護者と支援者のつどい」に参加してきました。 そこで実際に語られる介護体験。 現在の社会における「介護の現状」を知る必要があると感じました。 そこで公的…

「男性介護者と支援者のつどい」の感想

①参加してよかったと思う理由

介護経験者の体験が共有ができる
同じ気持ちを持った仲間ができる

これに尽きると思います。

介護をしていると難しい判断に迫られることがあります。延命、施設選び、お金など。

介護で起こる問題は書籍に書いてあるような例ばかりではありません。いろんな問題が複雑に絡み合うことがあります。

実際にわたしの両親は、相続や借金が複雑に絡んだ介護となっています。

そんな異例の状況で介護先輩たちはどう判断したのか?そんな生の声はとても貴重な判断材料になります。

妻の介護をしているが自身もアルツハイマー病
妻は末期ガンだが息子は引きこもりの40代
「看取り」まで経験したが継続して参加している

そんな多種多様な人たちが集まり運営されています。

介護における判断は非常に難しいです。なぜなら多少の犠牲が伴うからです。

そしてときとして、その判断が強い批判にさらされます。

先人たちの知恵が、これからの介護の道標となってくれるような気がしました。

②なぜ男性介護者に特化しているのか?

昔は親の介護は子供や家族がするものでした。

そして介護の担い手は子供の奥さんでした。男は外に出てお金を稼ぐ。女は家を守る。そんな時代がありました。

しかし、今は違います。

女性が男性と同等以上に働く時代となりました。

そして国は増え続ける社会保障費を抑えるために、「在宅介護」を後押ししています。

結果、「在宅介護」に新たな問題が生まれました。

長期化、高齢化、深刻化、孤立化です

続発する「介護殺人や虐待の加害者の多くが息子や夫といった男性である」というデータがあります。

今は男性介護者は当たり前となりました。そして、介護者自身も健康上に問題を抱えていたりします。わたしの父もそうでした。

そんな男性介護者には特徴があるそうです。それは「なかなか助けを求めない」ことです。

孤立化しやすい男性は、地域で支える仕組みが必要に思えます。

参加者の介護エピソード

ここからは実際に聞いた介護体験の共有です。

①介護は在宅ですべし!

ある方はこう力説されていました。

その方はすでに「看取り」までされています。

そして
「1番大変なのは介護3まで」
「そこからは自分の知識も増えるし、相手も弱ってくるから在宅介護は可能」
とおっしゃいます。

しかし一方で、「在宅介護ではなく公的支援に頼るべき」との意見も出ていました。わたしもその主張を唱える1人です。

それでも在宅介護をすすめる理由は強い後悔があったからです。

その方いわく、認知症で介護3状態だった妻の介護は、それは過酷を極めたそうです。その辛さから施設に預けたという経緯がありました。

しかし、一度預けたら「もうあの大変な介護はできない」と感じられたそうです。しかしそれが後の強い後悔となっているのだそうです。

認知症の方の介護は実際に大変です。

適切な判断はできなくなっていますが、体は自由に動かせることができます。それはときとして災いとなります。

暴言、暴行、詐欺被害、傷害事件、徘徊など

これらは介護者とその家族を疲弊させていきます。

この施設使用の判断に正解・不正解はないと思います。非常に苦しみながら下した決断だと思います。

「このようなことがこれから自身にも起きるかも?」
話を聞くことで、遠くない将来の心の準備ができるかもしれません。

②認知症の妻が徘徊する理由とは

これも認知症の妻を持つ方のお話です。

その方の奥様は「出産時の医療ミスで、お子様が障害を持つと」いった過去があります。そのことを証明するためにずっと裁判で戦い続けていました。結果は勝訴。

そしてその矢先、若くして認知症を患ってしまいます。

そんな気丈な奥様も認知症ですっかり人が変わってしまいました。

そんな奥様にイライラする毎日。気づけば奥様のことを「おい!」「お前!」としか呼ばなくなっていたそうです。

そんな奥様はある日を境に徘徊するようになります。

自宅から20キロも離れた場所で保護され、どこへ行こうとしていたのかキツく問いただしたそうです。

奥様は「自宅から遠く離れた横浜へ行こうとしていた」のだそうです。横浜は奥様のご実家のある場所。

それでご主人は「ハッ!」としました。

「これは俺がいけなかった」
「俺から逃げようとしているんだ」

その日から奥様を名前で呼ぶようにしたそうです。恥ずかしくて言えない言葉は「〇〇ちゃん、今日もかわいいね」と何度も鏡の前で練習したそうです。

そうすると、日に日に症状が落ち着いていきました。

認知症の家族を介護をしていると、ときにイライラしてしまいます。思うように行動してくれなかったりするからです。

この話を聞いて、自分は親にどう接しているかを考えさせられました。

③手足を押さえつけてまで施した延命措置

この方はお父様を介護されていました。肺ガンでもうお父様は他界されています。

「見取り」の段階のときのお話です。

もうそろそろ…という段階に入り、タンを除去する処置を施すかの判断に迫られました。

一度試してみるものの、あまりの苦しさにお父様は拒絶されたそうです。

しかし、「この処置をしないとお父様は亡くなってしまう」と医者は言います。

お父様は「死んでも良いからこの処置はしたくない」と言います。

この息子さんはご兄弟でお父様の手足を押さえ、処置を受けさせたのだそうです。

しかし、それが今となっては強い後悔になっているそうです。

「なぜ父の最後を安らかなものにしてあげれなかったのか」

介護の先に「看取り」は必ずやってきます。

「自分はどう看取られたいか?」そして「家族はどう看取りたいか?」

元気なうちに考えておく必要を感じました。

③DVD鑑賞の話

これは、とあるお医者様が自身で撮影された映画のお話です。なんでもそのお医者様は「孫正義さん」のご親戚とか。

この映画鑑賞の目的は「看取りについて考える」というものでした。答えはありませんが「自分なら?」という視点で映画を鑑賞しました。

まず登場人物を紹介すると、

末期がんを宣告されたお婆ちゃん
引きこもりの長男
離婚してシングルマザーの長女
不登校の長女の娘

お婆ちゃんを中心に、この4人で「看取り」までの物語が進んでいきます。

結論からお話しすると、それぞれが「役割を演じている」。そして「介護はときに役割を演じる必要がある」という内容でした。

引きこもりの長男は末期がんの母に「今日はうどんの気分なの!」と駄々をこね困らせます。そんな長男は日々衰えていく母を見て就活を演じます。スーツを着て家を出ては公園で時間をつぶしています。そして「仕事が決まったよ」「親不孝でごめんな」と母に語りかけます。お婆ちゃんはとても喜びます。「これからお前の人生はきっと上手くいくよ」と優しく語りかけます。

離婚してシングルマザーの長女は、そんな兄をうっとおしく思っています。「自分が兄の面倒を見たくないので母に死なれたら困る」と言います。そして認知症もある母の奇怪な行動に腹を立てています。「なぜちゃんとしないの⁈」しかし弱っていく母を見て次第に考え方を変えていきます。そして離婚した夫を連れてきて、母にこう言います。「私たち、また一緒に暮らすことにしたの」。お婆ちゃんは大喜びします。実は娘がまた再婚したらいいなと思っていたのです。実はこれは嘘。最後くらいは安心させようと長女夫婦が演じていたのです。

末期がんのお婆ちゃん、実は子供たちの嘘にずっと気がついていました。そして自身も夫の介護のときは嘘をついていたのです。末期がんを本人には知らせず、ずっと明るく接していたという過去があります。

それらを不登校の長女の娘が映像に収めているという構図で作られています。

介護は相手を思うあまり何かを演じることがあります。

「大丈夫でないのに大丈夫」と言ってしまうこともあります。

そして、人はぞれぞれに複雑な問題を抱えながら生きているということを改めて思い出しました。

まとめ

この「男性介護者と支援者のつどい」は、本や動画では得られない有益な情報がありました。

そして、介護の先には看取りがある

これは避けられない事実です。

男性の多くは「大丈夫」と言います。そして、「こういった活動には参加したくない」「自分ならなんとかできる」という心理が働きやすいです。

そして実際には大丈夫ではなく、どんどん孤立化してしまいます。

実際にわたしの父がそうでした。もう周囲が助けられないほど深刻化してしていたのです。

今回の「つどい」で感じたことがあります。

男性は初めは何も語りませんが、一旦火がつくと話が止まりません。それには「自分の話を聞いてほしいという潜在的なニーズ」があるように感じました。

このような「つどい」は全国にあるので、介護に悩む男性は気軽に行ってみてはいかがでしょう?

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リンク

「男性介護者と支援者の全国ネットワーク」
https://dansei-kaigo.jp/

「介護体験記」 男性介護者と支援者の全国ネットワークより
https://dansei-kaigo.jp/taikenki_show/

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