認知症を持つ父の入院記② 〜精神科とは?〜

父が精神科に入院して半年が経ちました。

この半年は色々なことが起きました。1番大きかったことは成年後見人制度の申し立てをしたことです。それによって父に関する対応がかなり減りました。なぜなら多くの諸手続きを後見人がやってくるるからです。病院とのやりとり、入院費の支払い、それ以外には納税関連などです。

そのため病院から連絡が来ることはなかったのですが、先日電話がかかってきました。「お父様の今後について話し合いたい」とのことでした。

病院は介護施設とは異なり終の住処ではありません。症状が安定してきたら退院しなくてはなりません。父が入院していると色んな面で安心でしたが、そろそろ父の今後を考える時期になってきたようです。

今回はそんな父がお世話になっている「精神科」についてお話しします。

Contents

精神科の入院制度

精神科と聞いて皆さんはどんなイメージを持たれますか?す

わたしは幼い頃、親の言うことを聞かないときにこう言われていました。「精神科に入院させるぞ」

まさかそんなわたしが、親を精神科に入院させることになるとは思ってもみませんでした。精神科といっても患者さんは様々で、認知症や依存症からうつ病の方まで色んな方が通院、入院しています。

そして、その入院といっても様々な種類があります。
①任意入院
これは患者本人が望んで入院する形です。1番理想の形といっても良いかもしれません。認知症でこのケースは稀だと思います。
②医療保護入院
患者本人に代わり家族の同意のもと行う入院です。本人に入院の判断が出来ず、かつ医療的に保護が必要と認められたときの入院となります。わたしの父は物盗られ妄想がひどく、非常に攻撃的になってしまったのでこの入院でした。
③応急入院
医療的に保護が認められるも、家族の同意が得られない場合の入院です。72時間以内という制限がつきます。
④措置入院
自分や他人に危害を加える恐れがある場合の入院です。2名の医師の判断が必要で、都道府県知事の権限により適用されます。過去、わたしの父はこの制度が適応されないか調べていました。

厚生労働省 精神科の入院制度について
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/support/hospitalization.html

医療保護入院とは

実際に医療保護入院となると、通常の入院と何が異なるのか気になると思います。

実際に父を病院に連れて行き、入院となったときの様子をお伝えすると、ほぼ強制入院に近い形でした。問診中は主治医の先生の後ろで、屈強な男性スタッフが4人ほど待機していました。まるで柔道やラグビーの選手のような体つきです。

主治医の口から入院の必要性が告げられると、父は激しく怒り狂いました。すると、すぐさまその男性職員達に押さえつけられ、隔離病室へと連れていかれました。その様子はドラマで見る逮捕劇の瞬間のようでもありました。わたしを睨みつけながら引きずられるように去っていく父の姿が今でも忘れられません。

認知症やアルコール依存症など、患者本人が正しく状況を判断が出来なくなってる場合は、自分から「入院します」とはなかなか言わないものです。父は認知症のため食材管理や金銭管理ができなくなっていました。賞味期限が切れたものを食べ、2ヶ月に一度の支給の年金を、早期に使い切ってたのです。もう一人暮らしをさせるわけにはいきませんでした。

他の病院と何が違うの?

1番違うと感じるのは外側から施錠できる部屋があることです。そして病棟自体も自由に外に出られない構造になっています。

それでいて基本的な人権はしっかり守られています。患者本人や他の入院患者の安全を確保するために隔離こそされていますが、手紙を出したり売店で好きなものを買ったりできます。

退院に関しても通常の病院と違うと感じた点がありました。

通常の病気や怪我の入院だと、主治医が指定した日に退院手続きをしなくてはいけません。よほどの事情がない限りは強制的に退院させられます。

わたしの父はヘルニアの手術で入院していたのですが、明らかに攻撃性が現れていて、一人暮らしが困難であったにも関わらず退院させられてしまいました。理由は今回の入院は外科手術のためであり、精神的なことで入院させたいのならば改めて精神科を受診させるようにとのことでした。

これには正直面食らいました。大人しく精神科を受診させられるくらいなら最初から手は焼きません。そして退院直後に父は警察を呼ばざるを得ないような行動を取ることになります。

また、他の患者や医療行為に迷惑がかかるような行為をとる場合も強制的に退院させられます。例えば病院を抜け出して飲酒をするなどがそうです。飲酒が血液検査でバレて退院させられたと言う話もあります。

話を戻すと、精神科の入院の場合は強制的に放り出されることは滅多にありません。退院後にどのように生活していくかなどが事前に話し合われます。

父が実際に入院して感じたこと

まずは本人と周囲の安全が守られたと感じました。

入院前は台風や大雨のたびに「生きているのかな?」と不安になっていました。またお金がなくなると不機嫌になるので、近所の方とトラブルを起こしてないかも不安でした。

父は今でも退院したがっています。毎週手紙が来て「早く退院したい」と書かれています。しかし、衣食住の安全性においては病院に勝る場所はありません。一人暮らしをさせていたら、公共料金を滞納し電気を止められ、食材も買えず孤独死してしまう可能性もあったのです。

そして、わたし自身も父が入院して安息の日が戻ってきました。入院前は早朝深夜に関わらず、父から一日80件ほどの着信がありました。内容はお金の要求です。それから解放されたことで生活が安定し、仕事や家庭に時間が割けるようになりました。

認知症のご両親をお持ちで「もう手に負えない」「このままでは自分の人生が狂ってしまう」と悩んでいる方は、この精神科の医療保護入院を検討してみてください。ひょっとしたら新しい選択肢が見つかるかもしれません。

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