「任意後見制度」のメリット・デメリットを解説します
Contents
「任意後見制度」とは
この制度の内容を結論から説明すると「後見人を本人が選べる制度」です。成年後見制度は大きく分けて2つあります。
①法定後見制度
家庭裁判所が後見人を選任する
判断能力がなくなってから始める
②任意後見制度
本人が後見人を選べる
判断能力が十分なうちから始められる
後見人候補は何人でも選べる
それではメリット・デメリットを詳しく見ていきましょう。
※今回の記事は社会福祉協議会の取材をもとに書いています
メリット・デメリット
メリット
最大のメリットは「後見人を自分で選べる」ところです。法定後見制度は後見人を希望することはできても、必ずしも希望が通るとは限りません。
例えば、「本人がどうしても家族に任せたい」と思っていたとします。しかし、健康状態などの問題で後見人は福祉の専門家が望ましかったとします。そういった場合は家族ではなく「社会福祉士」が選ばれたりします。
デメリット
そこそこ費用がかかります。第三者に依頼するとなれば月に2、3万ほどはかかります。
制度の仕組みとしては、一部の判断や手続きの代行を後見人に依頼する形です。例えば「住民票取得や介護サービス利用の手続きは後見人にお任せします」といった契約を後見人と結びます。そのような契約を複数結ぶと、さらに費用がかかっていく仕組みです。
もちろん家族が無償でやるとなれば費用は発生しません。しかし、特定の家族に負担がかかることへの不満や、家庭裁判所への報告などの事務負担が後見人には発生します。
そして、もう1つのデメリットがあります。それは任意後見人に「取消権」がないことです。本人が誤って何かの契約を結んでしまった場合、後見人は「取消し」ができないのです。そのため、結局は法定後見制度に切り替えるといったケースも多いようです。
どんな人に向いているか
繰り返しになりますが「後見人を自分で決めたい人」に向いています。
しかし、家族による不正が多いことも付け加えておきます。
ご両親が蓄えた資産を自分が管理できるとなった途端、お金に目が眩んでしまうケースもあるようです。その結果、ご両親亡き後に大変な相続争いに発展してしまうことがあるようです。
まとめ
任意後見制度は文字通り「任意で後見人を選べる制度」です。
しかし、法定後見人ほどの強い効力は発揮しないように感じました。
例えば、後見人になったとしても不動産売買や銀行口座に関する手続きなどの責任が重いものは代理では手続きができないことがあります。そのため、万が一の備えとしては法定後見制度は有効に思えます。
しかし、会ったこともない第三者に親を託すことに抵抗がある方もいるかと思います。ベストはご本人が健康なうちに、行政などが開催している「後見人制度の無料説明会」などに行き、専門家と繋がりを作っておくことだと思います。
わたしの場合は地区の「成年後見センター」に通い、父の状況に合った司法書士さんを紹介してもらいました。そして実際にお会いして信頼できる方だと感じたのでその方に依頼しました。
関連する記事
リンク集
「後見早わかり」厚生労働省
https://guardianship.mhlw.go.jp/
「成年後見制度Q&A」法務省
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji17.html
「成年後見制度 相談窓口」裁判所
https://www.courts.go.jp/chiba/saiban/tetuzuki/l4/Vcms4_00000459.html