親が『無保険』だったら?

しっかりとした貯金がないのであれば「何かしらに入ってもらった方が良い」
それが、わたしの体験からの答えです。しかし、過度な補償は必要ありません。「公的な医療制度」を使えば、個人の負担する額はそこまで高額になりません。「生命保険」という商品は特約(追加オプションのようなもの)をつけたり、補償額を上げていけば、とても高額になってしまいます。
万が一の備えで、将来の蓄えができなかったり、今が困窮してしまっては本末転倒です。今回は『なぜ生命保険に入っておいた方が良いか?』『高齢者には、どのような保険が適しているか?』をお話しします。
Contents
なぜ生命保険に入る必要があるか?
「生命保険」と言っても「死亡時の補償」だけではありません。万が一の備えとしての「医療保険」もあります。その加入がなぜ必要に感じたかを、実体験を元にお伝えします。
親が急に入院した場合は『入院費の立替えが発生する』ことがあるからです。状況によっては「本人の意識がない」「その後の判断能力が失われる」など親自身の口座からお金を引き出せないケースがあります。例えば通帳やカードのありかが分からない。暗証番号が分からない。親子関係によっては「親が子に通帳を渡したがらない」といったケースもあります。
ほとんどの病院は入院時に「保証人」が必要となります。子が保証人となる場合は、親が入院費を支払えないと、保証人である子に支払請求がきます。
さらに、親に認知症があった場合や、脳の損傷が出た場合に次のようなケースが起こり得ます。
『入院費は自分で払った』
数十万の立替えが、返ってこないことを意味します。親本人は自分で払ったと信じ込んでいるから、それを変えるのは並大抵ではありません。無理に回収しようとして、親子関係がこじれてしまうことも考えられます。
双方が気持ち良く治療にのぞめるように、『お金の心配』を払拭しておく必要があると思っています。
他には「退院後の通院」「それにかかるタクシー代」「お見舞い時の交通費」など。お金はあって困りませんでした。
どのような保険に入るべきか?
保険選びは至難の業です。理由は扱っている会社が多く、さらには取り扱っている商品も豊富です。この中から「最適」を選び出すのは簡単ではありません。
そこでポイントを2つに絞って説明します。
ポイント① 公的制度を利用する
医療費が高額になっても自己負担額が定められる「限度額適用認定」や、医療機関や薬局の窓口で支払った金額が一定額を超えると返還される「高額療養費制度」。これらの公的制度を使えば、医療費が巨額に膨らむことはありません。(収入が多い、先進医療を使ったなど特別なケースは除きます)
ポイント②日額5,000円の補償で十分
わたしの親のケースですが、股関節の人口骨頭手術で4ヶ月入院しました。一般区分収入の世帯だったので、月の入院費は食事代など込みで10万〜15万円です(保健外治療をせず、相部屋を利用しました。洗濯は病院に依頼しています)。そうすると日額5,000円の保険で十分賄えるのです。すこし残りましたので、その後の介護施設の入居費などに回しています。


どのような保険に入ればよいか?
母は元々『県民共済』に加入していました。まさに日額5,000円の補償で月々の掛金は4,000円。県民共済は加齢と共に掛金が上がらないのがメリットです。デメリットとしては加入に年齢制限(64歳まで)があること。保証期間が終身でないところ(熟年型で85歳まで)です。
現在81歳の父は、72歳の時点で無保険でした。母が脳梗塞で倒れたことを機に、近所の銀行へ行き、入れそうな保険に加入してもらいました。母が生死を彷徨っていなかったら、加入していなかったと思います。銀行の方に相談して『最低限の補償があり、月の掛金が最も安いもの』を選んでもらいました。70超えての加入で月5,000円台の掛金は、なかなか良いと思います。補償内容は「入院時、日額5,000円の60日型」です。しっかり調べたら、もっと月々の掛金が抑えられる保険があるかもしれません。
今の入院期間は短い傾向にあります。父は鼠蹊ヘルニアの手術で10日ほどです。お医者様が仰るには「はやく動いてもらった方が治療として良い」との事でした。掛金を上げてまで、特別長い保証期間にしなくとも良いと思いました。