現在の介護が抱える問題
先日「男性介護者と支援者のつどい」に参加してきました。
そこで実際に語られる介護体験。
現在の社会における「介護の現状」を知る必要があると感じました。
そこで公的機関の各種データを見てみました。
「高齢化社会」「介護者は増えている」といった漠然としたイメージはありましたが、数字で見ると深刻な問題でした。
その内容をできるだけ簡単にしてお伝えします。
Contents
現在の介護の問題
高齢者増加による問題
大きなところからお話しすると、この20年間で高齢者の増加が尋常ではないスピードで進んでいます。
総務省の調査によると、高齢者(65歳以上と定義します)は3640万人となり、日本の人口の3割が高齢者となりました。これは過去最高となります。
そして高齢者の人口割合は世界1位となりました。
そこで問題になるのが介護費用などを含む社会保障費です。
これまでは親の介護は子供や家族が行うものとされてきました。しかし、介護する側の高齢化、核家族化、介護による離職が社会問題となりました。
そこで「介護は社会全体で支える」という考え方に変わり、2000年から介護保険制度が始まります。
制度開始時の2000年は、国が負担する介護費用は約3兆円でした。それが2021年は12兆円まで膨れ上がります。約4倍です。
日本の1年間の予算が約107兆円。国防費や教育関連費は約5兆円です。いかに介護費用に予算が使われているかがわかります。
そうなると、「この増え続ける介護費を抑えば」となってくるわけです。
国はどのようにして介護費を抑えようとしているか
これには本当にさまざまな角度からアプローチされています。ここでは主に2つの方法をご説明します。
①国の収入を増やす(保険料増加、自己負担割合の増加、高齢者や女性の労働環境整備)
②在宅介護の推奨(在宅介護者が増やすことで介護費を抑える)
①の国の収入を増やすために、現役世代を増やす必要があります。保険料を支払える人を増やし、財源を確保しようという狙いです。
また、介護サービスを受けている年代の人も、収入に応じてより介護費用を払ってもらえるよう法改正が進んでいます。
さらに問題になるのが②の在宅介護の推奨です。
ほとんどの介護サービスや介護施設は、在宅介護に向け支援する場所となっています。
つまり「在宅介護が続けられるようにリハビリ頑張りましょう」の側面があります。
在宅介護は「住み慣れたお家で、家族の安心し暮らせる」といったイメージがありますが、現実は厳しい状況にあります。
国が在宅介護を後押しすることにより、在宅介護の長期化、高齢化、重度化、孤立化といった問題が増えることになりました。
今の在宅介護とは老老介護の二人暮らし世帯なのです。
その結果、介護者の虐待、殺人などが問題視されるようになってきました。
しかし大きな流れから見ると、国の限られた予算を適切に分配していくためには「介護費用の見直し」は回避不可能に感じます。
言い換えるなら介護保険料は増加し、自己負担割合は上がる
これはわたしたち現役世代は避けて通れない道に思えます。
現に今月、2022年10月から「後期高齢者医療の自己負担割合」が見直されました。一部の高齢者は、病院の窓口支払い金額が2倍になるのです。(移行期間なので上昇幅は最大で3000円までという措置はあります)
「後期高齢者の窓口負担割合の変更」 厚生労働省
https://zikka-kaigo.com/archives/nursing-2/nursing/mens/
まとめ
介護は定期的に法改正が発生します。
それにより
「どんな介護サービスが受けられるか」
「支払い費用がいくらになるのか」
が変わってきます。
ただの悪い政策なのか?
社会的背景から避けられないことなのかを見極め、準備していく必要があります。
介護費用は確実に上がっていくでしょう。なぜなら高齢者は増え続け、現役世代は減っているからです。
そのためにも、
「介護状態にならなくて済む健康管理」
「介護状態になったときに十分な介護サービスを受けられる金銭的備え」
をしていく必要があると感じました。